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数年前に拒絶された事を書く。
輪々華の受けていたDVはDV そのものである。
詳細は書かない。婦人科の世話になる類いだ。病院で追及される様な内容だ。配偶者の不始末を何故こちらで処理せねばならなかった。通院させ追及を受けたのは俺だ。だからそんな病気になったと考えている。昔の犯罪被害が原因なら神をこそ殺めたい。
彼女はしかしながら神を、守ると言った。
その頃夜中に電話が来た。
マンションの屋上から電話していると言った。秋。この時期だ。
夜は冷える。迎えに行くと行ったが断られた。こいつはこのまま飛び降りると思った。
弱っている時に霊につけ込まれるからだ。黒に近い赤の霊。暗いピンク色のドレス纏う霊が視えた。その頃は離れて祓えず終いだった。
夜中に電話して来るぐらいなら気持ちがあると信じた。説き伏せられると信じた。女なんてパートナーと上手く行かねば他に行く。その頃の経験則ではそうだ。絶対的にこちらに来ると信じた。もっと弱ればいいとは流石に思わなかった。死んだらそれまで。楽しめない、詰まらない。
落ちろ落ちろと思いながら話していた。彼女の受けていた事は離婚事由になる。早く落ちろと思いながらゆっくりと話していた。
小一時間も話したろうか最後に、「来世で」と言われた。
同時期に死んだら即来世だ。
この世は退屈だ。明日が来るとまた目減りする。時間を止めたい。自分が止まるか世界が止まるか。得られる結果は同じである。現在持っている物に未練が無い。