占室輪の日記帳

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能生です。久方ぶりです

輪先生の頼みならば書かねばなりますまい。

一つ死神の話でもしましょうか。 

  

私の幼き日の話です。人の死が分かる子供でありました。 

ですからして医者を最初はこの胸に志したんですが、頭脳的な不備ございまして残念ながら。しかしそれで良かったんでしょうね。 

叔父の死を視ました。小三でしたでしょうか、叔父の背後にピタリと憑いている黒き影。ペンキだと思いました一見。霊とは違いました。霊はもっと浮動していますね。 

  

小三でしたもので話掛けたんですね。死神にですよ。神ですから答えては頂けませんでしたね。現在なら話掛けられません。死神と話す事で何かしら奪われると。生命力。精力。それらを守り切る自信がありません。 

  

叔父は間も無く死ぬと分かりその通りに亡くなりました。周囲に言わず終いだったのですが肺癌でした。闘病せず煙草も吸っていた様子です。 

注意して見渡せば黒いペンキは時々視えました。病院では見掛ける機会が多いですが、探せばという程度ですね。輪先生も多嘉良先生も視ていらっしゃるかと思います。輪先生には死神が憑けないのだと分かったのは昨年です。 

この仕事していて心のクリニックにしろ占師にしろクライアントは、生きようとされてます。二人だけ本業で死神を視ました。占師のクライアントには死神憑きの人は視ていません。