占室輪の日記帳

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昔話⑶

化け猫の話していたシャンプーで思い出した。

あれはあいつが実家に洗面具一式残していなくなった為に、勿体無い精神で使った迄の事。フェチ的観点で話すなと告げたい。

何故中高生の分際でその様な半同棲になっていたかと言えば、彼女の家庭環境が悲惨であったからだ。

家の両親とて寛大ではあったが20時には父が、彼女を送っていた。高校入学後は21時に伸びた。

彼女の親――親の機能は果たされていないが便宜上そう呼ぶ――は23時、0時帰りが日常茶飯事だったと記憶している。彼女に食事が与えられていないのは知っていた。

しかしながら学校でも給食は、殆ど口にせぬ。保健室によく行っては寝ていた。高校では尚更ひどくなった。

家の母親が根気良く食わせていなければ病院に連れて行かねば、どうなっていたか想像するだに恐ろしい。

家に当たり前の如く「ただいま」と来ていた。「お邪魔します」ではない。風呂まで入っていった。その為に洗面用具があった。

聞けば小学生時代も、別の町だが同様に面倒を見ていた友人の家庭があったと。だから猫の様であると今も感じる。

彼女が当時住んでいたのは雇用促進住宅という名の、即ち団地に似た集合住宅だった。二世帯借りているとの事で彼女の姉と、二人暮らしの形態だった。親を見た事は一度しかない。義理の親父に判別不可能な言葉を掛けられ、辟易した覚えがある。

その辺の店で暴れて警察を呼ばれている、社会的害悪を時たま見掛けるが同種の人間である。

彼女の姉も見事に荒廃中であった。夜に姉の彼氏が来るから一晩、団地の階段踊り場で勉強していたと聞いて以降、事前に判れば迎えに行った。

断っておくがいたいけな少年期である。金も力も無い非力な時代である。ついでに言えば高校でようやく、PHS登場の時代であった。

彼女が父に車で送られる。チャリで迎えに行く。気配の無い化け猫は寝静まった両親に遠慮していたが玄関から通常通り、家に入る。一晩泊まる。早寝の親には未だに感謝してやまぬ。

親より早く起き登校していた。早朝は朝練も出来れば図書館にも行ける。こう見えて生徒会長だった為やる事は程々にある。

化け猫は生徒会に参加していたが、役立った覚えが無い。